英検1級の一次試験には合格したけど、二次試験の面接が不安…という方は多くいらっしゃるのではないでしょうか?
私も人前で話すのが嫌いなうえに、それを高度な英語でなんて心臓が痛い…と逃げ出したいくらいでした。
ですが、独学でも一次試験後の1か月でなんとか対策を間に合わせ、無事合格まで漕ぎつけました。
そこで本記事では、
- 英検1級の面接はどんな問題が出るのか?
- 面接の流れは?
- 具体的にどうやって対策したらいいか?
といった疑問に、仕事をしながら6か月の独学で英検1級に一発合格した筆者が答えます。
一次試験に受かったということは力が付いている証拠です。
最後の面接を突破して合格をつかみ取りましょう!
二次試験概要

二次試験はどんな内容なのか、どのように採点されるのか見てみましょう。
内容・形式
試験時間は約10分で、内容は↓のようになっています。
形式・課題 | 詳細 |
---|---|
自由会話 | 面接委員と簡単な日常会話を行う |
スピーチ | 5つのトピックから1つ選んでスピーチを行う(2分) |
Q&A | スピーチやトピックに関する質問に答える |
面接委員は2人で、スピーチ・応答の内容、語彙、文法、発音の正確さなどの観点から評価されます。
トピックは社会性の高い幅広い分野から出題されます。過去の出題例は↓です。
・科学の発展は常に有益か
・芸術への財政的支援増加の是非
・世界経済における日本の役割
・選挙権の行使を義務化するべきか
・遺伝子組み換え食品の安全性
・公共の場における治安改善の必要性
採点基準・配点と合格点
採点基準と配点は↓のようになっています。
分野 | 採点基準 | 配点 |
---|---|---|
スピーチ | トピックから1つ選んで論点と根拠をまとめ、首尾一貫したスピーチを組み立てられるか | 10点 |
質疑応答 | 質問に臨機応変に応答し、会話を継続できるか | 10点 |
文法と語彙 | 幅広い範囲の語彙・文法を正確かつ適切に運用できるか | 10点 |
発音 | 発音・アクセント・イントネーションを正しく運用できるか | 10点 |
この40点満点が英検CSEスコアで850点満点に換算されます。
合格基準スコアは602点なので、約70%以上の得点が必要です。
二次試験の合格率は、近年は公表されていませんが、過去のデータから約60%と言われています。
面接の流れ
続いて、面接当日の流れについて確認しておきましょう。
面接は↓のように進みます。
- 入室
- 「面接カード」を渡す
- 着席
- 氏名の確認と簡単な日常会話
- 「トピックカード」を受け取る
- スピーチの考慮時間(1分間)
- スピーチ(2分間)
- Q&A(4分間)
- 「トピックカード」を面接委員に返す
- 退室
それぞれ見ていきましょう。
入室
受付後、控え室で「面接カード」を渡されるので、氏名や個人番号を記入します。
その後、少人数ずつ係員に面接室前へ案内されるので、荷物をすべて持って移動します。
自分の番が来たらドアをノックして「May I come in?」と聞き、中の面接委員から入るよう返事が来たら「Hello.」など挨拶をして入室しましょう。
いてもたってもいられない待機時間ですが、「あれだけ練習したんだから大丈夫」と自分を鼓舞して平常心を保ちましょう!
「面接カード」を渡す
面接委員が2人いて、ここからはすべて英語です。
「Can I have your card, please?」など「面接カード」を渡すよう指示されるので、「Yes. Here you are.」と言って手渡しましょう。
着席
「Please have a seat.」などと着席を促されたら「Thank you.」と言って着席します。
荷物は自分の足元に置きましょう。
氏名の確認と簡単な日常会話
面接委員が名乗った後、受験者の名前を聞いてきます。受験級を確認されることもあります。
それから「How did you come here today?」(今日はここまでどうやって来ましたか?)や「Could you please tell us a little bit about yourself?」(簡単に自己紹介をしてもらえますか?)などの質問があり、簡単な日常会話をします。
ここでのやり取りは採点には含まれないので、緊張を和らげる時間に使いましょう!
自己紹介はあらかじめ考えておくとよいです。
「トピックカード」を受け取る
面接委員から5つのトピックが印刷された「トピックカード」を受け取ります。
スピーチの考慮時間(1分間)
トピックの中から1つ選んでスピーチの内容を考えます。
時間は1分間で、メモを取ることはできません。
トピックは専門性が低そうで、自分に親しみのあるもの、根拠がたくさん挙げられそうなものを10秒程度で素早く選びましょう。
1つずつ吟味している時間はないです。
残りの50秒程度で自分の立場と、その理由2~3つ、具体例などを頭の中で決めましょう。
スピーチ(2分間)
面接委員から「Which topic did you choose?」と選んだトピックを聞かれるので、「Topic three, “Is tradition always worth preserving?”」などと答えます。
「You have two minutes. Please begin.」など指示されるので、スピーチを始めます。
制限時間は2分間です。
それ以上続く場合は途中でも中止させられてしまうので、1分50秒程度で話し切る練習をしておきましょう。
Q&A(4分間)
面接委員からスピーチの内容やトピックに関して3~4問程度質問されます。
自分とは反対の立場からの意見や、つっこんだ質問など、答えにくいことを聞かれることもあります。
私は話に詰まり、頭が白くなりかけました汗
ですが、答えが正しいか間違っているかではなく、話し続けることが大事です!
時には「That’s a difficult question.」や「It depends on the situation, but…」など時間を稼いだり、いっそ相手の意見を一旦認めたりしつつ、主張がブレないように落ち着いて話を進めましょう。
ただ、ダラダラ話していると打ち切られますので、簡潔に伝えましょう。
「トピックカード」を面接委員に返す
「Your time is up.」など試験終了の合図があります。
「Could I have the card back, please?」などと言われたら「トピックカード」を面接委員に返却しましょう。
退室
面接委員から「You may go now.」など退室の指示があったら「Thank you.」と返し、「Have a nice day.」と言われたら「You too. Goodbye.」など最後までコミュニケーションを取って退室します。
退室時は忘れ物に注意し、退室後は他の受験者と話したり、控え室には戻らず、すみやかに会場から出ます。
面接対策
では、私が面接対策に使った問題集と実際に行った練習方法をご紹介します。
問題集を使った練習
面接練習に使った問題集は主に以下の2冊です。
『英検1級 面接大特訓』(Jリサーチ出版)
私は本書でかなり力を付けました。構成は↓のようになっています。
第1章 | 面接の概要や頻出分野について |
第2章 | 短文フレーズの例文集 |
第3章 | 分野別の頻出トピックの模擬問題(スピーチ→Q&A) |
模擬問題は、まず自力でやってみます。
その後、スピーチの解説やQ&Aのモデル解答を確認し、自分の解答に足りなかった部分をどんどん盗んでいきます。
繰り返すうちに自分の得意分野や話しやすい流れが見つかってきますので、「マイテンプレ」を蓄積していきましょう。
最初は頭で考えてすぐに話すのが難しければ、書き出してみてもOKです。
本書はライティング対策も兼ねているのですが、実は面接はライティング対策が非常に活きてきます。
全体の構成「序論→本論→結論」や、各段落の構成「トピックセンテンス→サポーティングセンテンス」がそのまま使えるからです。
また、英作文と2分間のスピーチの分量も200~240語程度と同じくらいです。
ライティング対策については、以下の記事でまとめているのでチェックしてみてください。
『英検1級 過去6回全問題集』(旺文社)
言わずもがなですが、過去問は出題傾向を知り、腕試しするうえで外せません。
本書には過去問が6回分収録されており、独⾃に作成したモデルスピーチが各回5本、合計30本掲載されています。
音声もアプリまたはダウンロードして聞けるので実践練習に便利です。
本番同様に模擬面接
練習では、入室から退室までの動きを確認し、声に出して本番と同じように模擬面接をしておきましょう。
話す際は時間を計り、どのくらいの速さで話せばいいか、言いよどみも含めて確認します。
目安の時間は↓のような感じです。
- 自己紹介: 30秒程度
- スピーチ:制限時間の2分より少し短めの1分50秒程度
- Q&A:各質問1分以内(3~4文)
また、友達や家族でも、鏡に映る自分でもいいので、アイコンタクトを取りながら話す練習をしましょう。
相手(本番は圧さえ感じる面接委員!)の目を見ながらロジカルに話すのは練習しないと案外難しいです。
音声を録音したり、話す姿を録画するのも効果的です。
自分で自分を見たり聞いたりするのは恥ずかしいですが、声が小さい、目が泳いでいる、同じ表現が多いなど、客観的に確認できます。
面接のコツ

最後に私が感じる面接のコツを3つご紹介します。
話しやすいトピックをパッと選ぶ
ライティングにも共通しますが、事実や自分の本当の意見を話す必要はありません。
それっぽい根拠を挙げて全体として筋の通った話ができればいいです。
ただし、ライティングとは違い、スピーチの後に踏み込んだ質問をされるので、自分に馴染みのないトピックや理由は避けるのが無難です。
そこそこ知識があるトピックを選び、得意な答え方で素早くスピーチの構成を組み立てましょう。
困ったときの手札を用意しておく
面接では緊張とパニックが大敵です。
なので、↓のようなお助けカード(表現)をいくつか持っておき、困ったら使いましょう。
・I beg your pardon?
・Could you repeat the question again?
・Do you mean…?
・Could you paraphrase the question?
とにかく話し続ける姿勢を見せる
面接は黙ったらアウトです。
面接官によるかもしれませんが、1級ともなるとニコニコ優しい表情で聞いてくれるとは限りません。
時間になれば話途中でも容赦なく打ち切られますし、「そう来るか?!」という思わぬ質問が飛んでくる可能性もあります。
それでもめげずに最後まで話し続けましょう!
私はQ&Aでうまく根拠を補強できず、「この人なに言ってんだろ」という表情の面接官を前に(※実際にどう思っていたかは分かりません)、「この人なに言ってんだろって顔されてるなー泣」と思いながらも頭の中から引っ張り出せるものをとにかく出し続けました。
満点は難しくても、話しさえすれば部分点はもらえるはずです。
どこをどう評価されているかは分からないので、諦めずに話す姿勢を見せましょう!
まとめ:面接は事前準備で対策を!
今回は英検1級の二次試験である面接について、流れや対策をご紹介しました。
リーディングやリスニングはまだ慣れているけど、スピーキングは自信ないという方は多いと思います。
一次試験後の1か月という限られた時間だからこそ、やれることをやり尽くして二次試験に臨みましょう。
面接が終われば晴れて自由の身です。ご褒美目がけてあとひと踏ん張りです。
ここまで頑張ってきた皆さんの合格が叶いますように!