英検とTOEICはよく比較されますが、
・英検1級はTOEICに換算すると何点くらい?
・英検1級とTOEIC900点ならどっちが難しい?
・結局どっちを受けた方がいい?
といった疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。
そこで本記事では、英検1級・TOEIC900点以上の筆者の視点も交えながら2つの試験を10項目で比較し、難易度やどちらがおすすめかを解説します。
両試験は形式が異なるので一概には断言できませんが、受験を迷っている方は判断材料にしてみてください!
※本記事で言う「TOEIC」は「TOEIC Listening & Reading Test」を指します。
英検1級とTOEICを10項目で比較

どちらが難しいか、どちらを受けた方がいいかを判断する前に両試験の違いを見てみましょう。
測定能力
英検とTOEICは測定する能力が異なります。公式には↓のように記されています。
英検 | TOEIC |
---|---|
4技能(リーディング・リスニング・スピーキング・ライティング)のバランスを重視し、日常生活からアカデミック、ビジネスまで、社会で求められる英語力を測る | 知識・教養としての英語ではなく、オフィスや日常生活における英語によるコミュニケーション能力を幅広く測定 |
英検は4技能の総合的な英語運用能力を重視し、アカデミックな内容や教養を深める社会的な題材も含まれます。
一方、TOEICはビジネスでのコミュニケーション、実用性を重視しています。
試験形式
各試験の形式は↓です。
英検1級 | TOEIC | |
---|---|---|
内容 | 一次試験:筆記(100分)+リスニング(約35分) 二次試験:面接(約10分) | リスニング(約45分)+リーディング(75分) |
リーディング | 35問 短文穴埋め、長文穴埋め、長文読解 | 100問 短文穴埋め、長文穴埋め、単文書読解、複数文書読解 |
リスニング | 27問 会話、説明文、リアルライフ、インタビュー | 100問 写真描写、応答、会話、説明文 |
ライティング | 2問 英文要約、英作文 | 別途TOEIC Writing Test受験が必要 |
スピーキング | 会話、スピーチ、Q&A | 別途TOEIC Speaking Test受験が必要 |
両試験ともリーディングとリスニングはマークシート方式です。
特徴としては、英検1級は各文書が長く、TOEICは問題数が多いです。
レベル目安
英検1級に合格した場合、またTOEICは860点以上の場合、レベルとできることの目安は↓とされています。
英検1級 | TOEIC860点以上 | |
---|---|---|
レベル | 大学上級程度: 広く社会生活で求められる英語を十分理解し、使用できる | レベルA(最高): Non-Nativeとして十分なコミュニケーションができる |
Can-do | 専門的な話題について、推論をしながら複雑な文章や話の展開および概要や要点、詳細を理解し、情報や自身の考えを主張や根拠の展開を明確にしながら詳細にかつ論理的に伝えることができる | 自己の経験の範囲内では、専門外の分野の話題に対しても十分な理解とふさわしい表現ができる Native Speakerの域には一歩隔たりがあるとはいえ、語彙・文法・構文のいずれをも正確に把握し、流暢に駆使する力を持っている |
出典:
各級の目安(公益財団法人 日本英語検定協会)
PROFICIENCY SCALE(一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会)
スコア対照
各試験のスコアを対照すると↓です。
英検1級 | TOEIC | |
---|---|---|
評価方法 | 合否制 | 10~990点の5点刻みのスコア制 (リスニング495点+リーディング495点) |
合格基準 | CSEスコア2630/3400点以上 | なし |
CEFR | C1(CSEスコア2600点~) | C1(リスニング490点~、リーディング455点~) |
出典:
英検CSEスコアとは(公益財団法人 日本英語検定協会)
TOEIC Program各テストスコアとCEFRとの対照表(一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会)
英検1級・TOEICのスコアと「CEFR」との対照表から、おおよそ英検1級がTOEICの945~990点に相当することが分かります。
CEFR(Common European Framework of Reference for Languages)は「ヨーロッパ言語共通参照枠」と呼ばれるもので、ヨーロッパで作成された外国語学習者の習熟度を同一の基準で判断するための国際的な指標です。
CEFRでは、外国語の習熟度を A1、A2、B1、B2、C1、C2の6段階に分けていて、C2が最高レベルです。
そのうち英検とTOEICではC1程度までの英語力が測定可能となっており、英検1級の合格点2630点以上、TOEICの945点以上はC1に相当するとされています。
語彙
必要とされる語彙数は、TOEIC900点を超えると英検1級と同等の約10,000語と言われています。
英検1級 | TOEIC |
---|---|
約10,000~15,000語 | 900点以上は約10,000語~ |
合格率・スコア分布
英検1級は合格が受験者10人に1人くらい、TOEICは合否はありませんが、895点以上の割合が全受験者の上位4%くらいです。
英検1級 | TOEIC |
---|---|
合格率約10% | 895点以上は約4% |
受験料と日程
2025年8月時点の受験料と日程は↓です。
英検1級 | TOEIC | |
---|---|---|
受験料 | 12,500円 | 7,810円 |
日程 | 年3回、日曜日(1月、6月、10月) | おおよそ毎月1回、日曜日(午前/午後) (月2回の場合や土曜日実施もあり) |
有効期限
英検1級は有効期限がなく、生涯有効です。
TOEICは、提出先の企業などで期限を設定していなければいつのスコアでも記載できますが、試験日から2年経過すると公式認定証の再発行ができなくなります。
英検1級 | TOEIC |
---|---|
なし | 2年 |
活用場面
英検1級とTOEICは↓のような場面で活用できます。
英検1級 | TOEIC | |
---|---|---|
大学入試 | 一部大学で利用可(出願資格、判定優遇・合否参考、試験免除、得点換算、加点) | 一部大学で利用可(出願資格、判定優遇・合否参考、試験免除、得点換算、加点) |
海外留学 | 基本的に不向き | 基本的に不向き |
就職活動 | 評価と認知度は高い | 多くの企業で英語力指標として利用 |
昇進・社内評価 | 評価は高い | 多くの企業で重視する傾向 |
免許・資格 | 教員採用試験や通訳案内士試験に利用可 | スコア次第で教員採用試験や通訳案内士試験に利用可 |
英検1級もTOEICも国内での認知度は高い一方、海外での利用には向かず、TOEFLやIELTSの方が一般的です。
また、学校や企業にもよりますが、おおむね英検1級は学業、TOEICはビジネスが得意領域のため、その分野で評価・利用されることが多い印象です。
対策
各試験の分野ごとの特徴と対策の違いは↓な感じです。
英検1級 | TOEIC | |
---|---|---|
語彙 | 難関のため強化の必要大 | ビジネス・日常生活の単語中心のためまだ馴染みがある |
リーディング | 各文書の量が多く、1文が長いため、すばやく文の構造を理解する文法力と読み切る忍耐力が必要 | 各文書の量は多くないが、問題数がかなり多いので、スピード感を持って解く情報処理力が必要 |
リスニング | パートによっては専門的な内容が含まれ、また長いので、適宜メモを取りながら必要な情報をキャッチする力が必要 | 難易度は英検1級ほどではないが、4か国のアクセントが聞きづらかったり、また問題数が多いので集中を切らさない精神力が必要 |
ライティング | 限られた時間で要約とエッセイを完成させるため、構文や使える表現を覚えておくなど、事前対策が重要 | L&Rにはなし |
スピーキング | 英語力に加え、アカデミック・社会的な知識も必要、かつ時間内に話し切り、冷静に主張できるよう事前練習が重要 | L&Rにはなし |
英検1級はTOEIC900点より難しい

「スコア対照」でCEFRと比較したように、英検1級をTOEICの点数に換算すると945~990点に相当します。
4技能の英検と2技能のTOEICを単純には比べられませんが、英検1級とTOEIC900点なら英検1級の方が難しく感じます。
ただ、TOEIC990点満点となると、英語力だけでなく1問も落とせない(回によって数問落としても満点になる可能性あり)プレッシャーの中、2時間ずっと神経を集中させる別の力も必要になります。
なので、満点でなくてもとりあえず英検1級に合格することとTOEIC満点なら後者の方が難易度が高いです。
まとめると↓です。
英検1級・TOEICがおすすめな人

これまでの比較を踏まえて、目的・状況別に英検1級がおすすめな人、TOEICがおすすめな人をリストにしてみました。
✓英検1級がおすすめな人
- 「読む」「聞く」「書く」「話す」の4技能をバランス良く伸ばしたい
- 入試や資格試験に使いたい
- 社会問題やアカデミックな内容を勉強する気がある
- 対策に時間を取れる
- 生涯使える資格を取りたい
✓TOEICがおすすめな人
- とりあえず「読む」「聞く」の2技能だけでいい
- 就職やキャリアアップに使いたい
- ビジネス英語を身に付けたい
- 対策にあまり時間を取れない
- 合否より数値化された今の英語力を測りたい
まとめ:手堅さは英検1級、手軽さはTOEIC
目的や状況によって受けるべき試験が変わってきますが、どちらか迷って決められないならまずTOEICを受けてみて、それから英検1級に挑戦してみるのがいいかもしれません。
TOEICは合否ではないので、受ければ必ずスコアとして結果が残りますし、受験料や試験実施頻度からも英検1級より手が出しやすいです。
「合格する」という目標と決意ができたら英検1級を目指してみましょう。
英検1級もTOEICもそれぞれのメリットがありますので、持っていて損になることはありません。
どちらも持っているとなお良いです。
ただ、「英検1級合格」も「TOEIC○○点取得」もゴールではありません。
結果も大事ですが、課程はもっと大事です。
やってみようの気持ちを大事にチャレンジしてみてください!