オーストラリアに留学する場合、語学力の条件としてIELTSやTOEFLのスコアを提示されることがほとんどです。
スコアが必要なことは分かったけど、何から対策したらいいか分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
筆者は学生時代にオーストラリアに留学経験があり、その際はIELTSを受験しましたが、そもそも「IELTSとは何ぞや?」という感じでした。
そこで本記事では、
- IELTSの概要
- スコアの目安
- IELTSを受験するメリット・デメリット
- 受験のスケジュール
- おすすめの問題集
をご紹介します。
まずは目標スコアを取得して、海外留学応募への切符をつかみ取りましょう!
IELTSとは?

IELTS(アイエルツ)とは、International English Language Testing Systemの略で、英語4技能(リスニング、リーディング、ライティング、スピーキング)を総合的に測定する英語運用能力評価試験です。
ブリティッシュ・カウンシル、IDP:IELTS オーストラリア、ケンブリッジ大学英語検定機構が共同で運営しています。
日本ではブリティッシュ・カウンシルと公益財団法人 日本英語検定協会が共同で運営しています。
世界140か国以上、10,000以上の機関で認定されていて、世界で年間400万人以上が受験します。
イギリス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドなどへの留学、就職、移住申請に最適なテストです。
種類
IELTSには2つのテストタイプ(モジュール)があります。
アカデミック・モジュール
英語圏の大学や大学院で学びたい人、看護師や医師登録申請をしたい人などが、その環境において必要な英語運用能力を備えているかを測る試験です。
オーストラリアの大学や大学院では、アカデミック・モジュールでの試験結果が入学許可の判断基準となっています。
ジェネラル・トレーニング・モジュール
英語圏で学業以外の研修を考えている人や、就職や移住を希望している人がビザを申請する際に英語力を証明するために受ける試験です。
日常生活での実践的な英語力を測ります。
試験形式・内容
試験形式・内容は↓のようになっており、試験時間はトータルで約2時間45分です。
ペーパー版とコンピューター版(試験会場にて設置されているパソコンで受験)があるので、好みに合わせて選べます。
コンピューター版の場合、筆記テストはパソコン上で行いますが、スピーキングテストはペーパー版と同じく対面式です。
スピーキングテストは筆記テストと同日、または前後1週間以内に実施されます。
受験料、試験時間、内容、採点基準に変わりはありません。
ライティング | リーディング | リスニング | スピーキング | |
---|---|---|---|---|
時間 | 60分 | 60分 | 30分+転記10分 | 11~14分 |
問題数 | 2問 (タスク1, 2) | 40問 (3パッセージ) | 40問 (4パート) | 3パート |
形式 | エッセイ | 記述/選択問題 | 記述/選択問題 | 面接官と1対1の対面 |
内容 | 【タスク1】 図表やグラフの要約・説明・描写 (150語以上) 【タスク2】 問題や議論、見解について自身の意見を記述 (250語以上) | 長文読解と課題 (図表やグラフ、議論や分析) | 【パート1】 2人による日常会話 【パート2】 日常シーンのモノローグ 【パート3】 最大4人による教育機関や訓練機関での会話 【パート4】 学術的内容のモノローグ | 【パート1】 自己紹介や日常生活に関する質問 (4~5分) 【パート2】 特定のトピックについて1分間で話す内容を考え、 2分程度でスピーチ →試験官から質問1~2問 【パート3】 ↑のトピックについて 詳しくディスカッション (4~5分) |
スコアとレベル
テスト結果は1.0から9.0の0.5刻みの数字(バンドスコア)で示され、合格・不合格はありません。
リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの各スキル別バンドスコアと、総合評価としてオーバーオール・バンドスコアが与えられます。
結果の有効期限は2年間です。
バンドスコア | スキルレベル | 英語力 |
---|---|---|
9 | エキスパート・ユーザー | 十分に英語を駆使する能力を有している。 適切、正確かつ流暢で、完全な理解力もある。 |
8 | 非常に優秀なユーザー | 時折、非体系的な不正確さや不適切さがみられるものの、十分に英語を駆使する能力を有している。慣れない状況においては、誤解が生ずることもありえる。込み入った議論に、うまく対応できる。 |
7 | 優秀なユーザー | 時折、不正確さや不適切さがみられ、また状況によっては誤解が生ずる可能性もあるが、英語を駆使する能力を有している。複雑な言語も概して上手く扱っており、詳細な論理を理解している。 |
6 | 有能なユーザー | 不正確さ、不適切さ、および誤解がいくらか見られるものの、概して効果的に英語を駆使する能力を有している。特に、慣れた状況においては、かなり複雑な言語を使いこなすことができる。 |
5 | 中程度のユーザー | 部分的に英語を駆使する能力を有しており、大概の状況において全体的な意味をつかむことができる。ただし、多くの間違いを犯すことも予想される。自身の分野においては、基本的なコミュニケーションを行うことができる。 |
4 | 限定的ユーザー | 慣れた状況おいてのみ、基本的能力を発揮できる。理解力、表現力の問題が頻繁にみられる。複雑な言語は使用できない。 |
3 | 非常に限定的なユーザー | 非常に慣れた状況おいて、一般的な意味のみを伝え、理解することができる。コミュニケーションが頻繁に途絶える。 |
2 | 一時的なユーザー | 確実なコミュニケーションを行うことは不可能。慣れた状況下で、その場の必要性に対処するため、極めて基本的な情報を単語の羅列や短い定型句を用いて伝えることしかできない。英語による会話、および文章を理解するのに非常に苦労する。 |
1 | 非ユーザー | いくつかの単語を羅列して用いることしかできず、基本的に英語を使用する能力を有していない。 |
0 | 非受験者 | 評価可能な情報なし。 |
出典:バンドスコアの解釈について(公益財団法人 日本英語検定協会)
その他受験情報
IELTSは以下5つの団体から申込が可能です。
・ブリティッシュ・カウンシル
↑の公式テストセンター:日本英語検定協会、バークレーハウス
・IDP
↑の公式テストセンター:JSAF
以下表は日本英語検定協会の情報を元に記載していますので、詳細は各団体のウェブサイトをご確認ください。
ペーパー版 | コンピューター版 | |
---|---|---|
受験料 | 27,500円 | 27,500円 |
日程 | 最多で毎月4回程度 | 東京・大阪:ほぼ毎日 名古屋:土日いずれか |
申込方法 | クレカ払い:試験5日前の正午 コンビニ・ゆうちょATM払い:試験10日前 までにオンライン申込 | 試験3日前の9:00までにオンライン申込 |
会場 | 札幌、秋田、仙台、千葉/船橋、東京、横浜/川崎、長野/松本、金沢、静岡/浜松、名古屋、京都、大阪、神戸、広島、福岡、熊本 | 東京駅前、東京市ヶ谷、名古屋、大阪 |
必要な物 | パスポート、クレジットカード(コンビニ払いは不要)、水(当日) | パスポート、クレジットカード、水(当日) |
結果WEB公開 | 試験13日後 | 試験1~5日後 |
他の英語試験との対照
目安ですが、IELTSと他の英語試験のスコアを国際標準規格のCEFRと比較した対照表です。
CEFR | IELTS | TOEFL iBT | 英検 | TOEIC L&R |
---|---|---|---|---|
C2 | 8.5-9.0 | 114~120 | ||
C1 | 7.0-8.0 | 95~113 | 1級 | L490~, R455~ |
B2 | 5.5-6.5 | 72~94 | 準1級 | L400~, R385~ |
B1 | 4.0-5.0 | 42~71 | 2級 | L275~, R275~ |
A2 | 準2級 | L110~, R115~ | ||
A1 | 3級 | L60~, R60~ |
留学に必要なスコア

各機関への入学に必要なIELTSスコアはおおよそ↓な感じです。
大学院 | 6.5~7.0以上 |
大学 | 6.0~6.5以上 |
ファウンデーションコース | 5.0~6.0 |
TAFE・専門学校 | 5.0~5.5 |
IELTSのメリット

個人的にはTOEFLよりIELTSの方が受けやすいのですが、そんなIELTSのおすすめポイントを2つ挙げます。
オーストラリアで主流な試験
IELTSは特にイギリス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドで主流な試験なので、上記の国に留学することが初めから決まっているならIELTSを受けるとよいでしょう。
また、アメリカでも英語力の証明としてIELTSを採用している機関は多いので、汎用性が高いです。
従来の「紙とペン」で解答できる
ペンで紙に書き込みながら解答でき、対面でスピーキングテストが行われる従来の試験形式の方が慣れているため、受けやすさを感じます。
TOEFLはパソコンの画面上で読んで、マイクに向かって話すという、英語力とは別の対策が必要で、自分には向いていないと判断しました。
紙かパソコンかは好みの問題ですが、早めにスコアを取得したい場合は、試験形式に抵抗がないものの方がいいです。
IELTSのデメリット

IELTSの「ここは痛いな~」ポイントを2つ挙げます。
受験料が高い
1回27,500円はまあ高いです泣
ただ、TOEFLはUS$195なので、約29,250円(1ドル=150円換算)ともっと高いです。
留学に必要なので仕方ないですが、なるべく少ない回数でスコアを取得したいですね。
会場が限られている
他の英語の試験に比べると受験できる場所が限られているため、近くに会場がない場合は遠方から出向かなければなりません。
留学に必要なので仕方ないですが、なるべく少ない回数でスコアを取得したいですね。(2回目)
受験のスケジュール
留学開始の1年半~1年前にはスコアが取得できるのが理想です。
というのも、その後も出願やビザ申請、荷造りなどやることが山のようにあるので、対策は留学を開始したい希望時期から逆算して早めに取りかかりましょう。
参考までに私は以下のスケジュールでした。
留学開始(2月)前年の4月にIELTSスコア取得
6月に大学の交換留学選考に応募
7月に合格
9月に現地大学に出願、寮申込
11月に現地大学から受け入れ通知→海外保険支払い→ビザ申請
12月にビザ下りる
1月にようやく寮決定(ギリすぎ汗)
1年なんて長い気がしてしまいますが、走り出すとあっという間で、1年ですらかなりタイトなので、余裕を持って準備するのが◎です。
おすすめの問題集
IELTSの対策におすすめの問題集をタイプ別にご紹介します。
総合問題集
IELTSには過去問題集がないので、「公式」や「公認」の問題集を解くのが一番信頼度が高く、スコア取得の近道です。
『IELTS 19 Academic Student’s Book with Answers with Audio with Resource Bank』(Cambridge University Press and Assessment )
IELTS設問作成団体であるケンブリッジによるIELTS公式問題集です。
模擬試験が4回分収録されており、本番さながらに練習ができるので、試験慣れや受験直前の腕試しにもってこいです。
英語で書かれていますが、本家の問題集なので外せない定番の1冊です。
『IELTSブリティッシュ・カウンシル公認問題集』(旺文社)
日本初のブリティッシュ・カウンシル公認のIELTS問題集です。
説明は日本語で書かれています。
「4技能の対策+模擬試験1回分」の構成で、出題形式、テストの流れ、評価基準、攻略法、練習問題と、まるっと内容豊富な1冊です。
『IDP Education IELTS公認問題集』(桐原書店)
日本語で図やイラストとともに説明されており、IELTSに詳しいエキスパートによる解説もあります。
音声はイギリス・アメリカ・オーストラリア・カナダのアクセントが収録されており、ライティングは中級レベルと上級レベルのサンプルエッセイが掲載されています。
初心者~上級者まで幅広く使える1冊です。
技能別
各技能に特化した対策本もあります。
特に苦手とする人が多いライティングとスピーキングは、総合問題集とは別に対策をするとよいです。(私は苦手克服が足りず、伸び悩みました…)
リスニングとリーディングは公式・公認問題集を解きまくるのが一番いいかなと思いますが、不安・苦手意識がある方のために↓載せておきます。
『実践IELTS技能別問題集リスニング』(旺文社)
1. 聞き取り力を底上げするトレーニング
2. 問題タイプ別演習
3. 模擬試験2回
の構成になっています。
IELTS特有のリスニング攻略法が詳しく解説されています。
『実践IELTS技能別問題集リーディング』(旺文社)
1. 読解力を底上げするトレーニング
2. 問題タイプ別演習
3. 模擬試験1回
の構成になっており、IELTS特有のリーディング解答ポイントが解説されています。
どちらかというと初心者向きかもしれません。
『IELTS ライティング徹底攻略』(語研)
ライティングスキルの習得とスコアアップを目指せる良書です。
本書の5大特長である、出題トピックの背景知識・アイデア、分野別語彙・必須フレーズ、パラフレーズスキル、ライティング問題攻略法、重要文法・語法が学べます。
IELTSライティングを効率的に学べる、完全網羅本です。
『IELTS スピーキング・ライティング完全攻略』(アスク出版)
スピーキング、ライティングどちらにも使える1冊です。
スピーキングは、パート別に頻出分野や攻略ポイント、実践問題が掲載されています。
短期間で効率よくスコアアップを目指すことにフォーカスしています。
単語
『実践IELTS英単語3500』(旺文社)
IELTSに特化した人気のロングセラー単語集です。
「基本語1000」+「重要語2500」の3500語が収録されており、目標スコア(5.0~7.5以上)ごとにレベル分けされているので、達成したいスコアに合わせて単語を覚えられます。
また、収録語はすべてイギリス英語のスペリング、発音で掲載されているので(無料音声をダウンロードまたはアプリで利用可)、IELTS対策に限らず、イギリス英語圏への渡航を目指す人には参考になります。
まとめ:IELTS対策は早めに準備を!
今回はオーストラリア留学の英語力証明として広く採用されているIELTSについて解説しました。
目標としている留学先の語学スコアをクリアできなければ、そもそも応募・出願することができません。
スコア取得は時間がかかるものです。
留学を決めたら早めに準備を始めて、余裕を持ったスケジュールで動きましょう!